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くまの書評ブログ【すべての書籍は血肉縁】

“血”となり“肉”となり、人々の“縁”となる読書の素晴らしさを、野獣目線で呟いていきます。

若き政治家の熱いメッセージ【だから政治家になった】

    本書は、元総理大臣の秘書を務めた後、27歳で神奈川県議会における県政史上最年少議員として当選した政治家による政策本である。

 

だから政治家になった。矛盾だらけの世の中で正論を叫ぶ

だから政治家になった。矛盾だらけの世の中で正論を叫ぶ

 

 



     貧しい母子家庭から、ダイニングバーをオープンしたりベンチャー企業役員になったり、といった経歴を語っているところをみると、単なる自慢話かとも思われがちだが、実際はそうではない。世の中の甘くない現実や、高齢化社会における弊害、現行の社会制度の甘さや若者世代への投資の拡充の必要性などを懸命に訴えている。
    本書の中には、政治家とはどのような職業であるべきなのか、そして我々国民(有権者)がどのような立場で政治に関わっていけばいいのかということもわかりやすく書かれている。この日本社会において国民(主に若者)がどんどん声をあげて政治と自分の生活をしっかり考えることの大切さも主張していて、読んでいて「ああ、この著者はただ自分のしてきたことを普遍化したいわけではないのだな」ということがわかる。
    その上で、著者の具体的な政策を紹介すると、以下の5つである。

 

1.チルドレン・ファースト ますは未来を担う子ども・若者世代への投資を拡充


    ニュースでもよくみかけるが、子どもの貧困を放置するだけで総額40兆円の損失があげられるという推計があり、当然これは日本中全員にとって関わりのある事柄である。働く父母や、すべての勉強したい子どもたちに、教育が与えられるよう、学校を大学まで無償化し、日本の力を底上げする。

 

2.全世代の“人”に向けた投資の拡充と持続可能な社会保障制度の堅守


    アベノミクスの失敗により、国民がそのツケを払わされている現状を打破するために、全世代の困っている“人”に向けた投資を充実させることで、持続可能な社会を目指す。

 

3.最先端技術を活用した第四次産業革命とふつうの人から豊かになる経済再生の牽引


    日本の経済成長率が著しく低いのは、不要な公共事業や既得権益層へのバラマキという旧来的な手法を軸として政策を進めていった結果、成長戦略が上手くいかないところにある。そこで、AI、ロボット、VR、ドローンといった最先端技術を駆使し、生産性、利便性を高めることによって人々の生活を豊かにし、国力をあげる。

 

4.ICTを活用した社会のスマート化と行財政改革の断行


    1000兆円を超える日本の莫大な借金を、「ICT化」「見える化」を基準とした行財政改革を徹底して行うことが必要である。具体的には政府・行政事業を定量的・定性的な指標を用いて評価し、すべての事業の見える化を図り、国民に公表することで真にクリーンな政治を進め、無駄をなくす。

 

5.原発ゼロ社会の実現と平和・憲法を護る


    安倍内閣原発推進や集団的自衛権の行使など、強権の暴走に歯止めをかけるためにも、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を基調とした立憲民主主義を守る。シェールガスメタンハイドレートなど、様々なエネルギーのベストミックスによって、2030年代までに原発ゼロを目指す。

 

    最後に

 

    本書では、著者の言うところには、甘い部分というか、無理無謀に見えるところが散見される、というのも否定できない。しかし、それはもしかしたら、我々があまりにも現代の日本社会に対して無関心である人が多すぎることの表れなのではないかとも思う。
    確かにそのような、国民に深く物事を考えさせず、政治や投票に関して無関心な社会構造を構築してきたのは今の政治家や既得権益層だ。しかし、それを理解した上で、我々は考えて行動していかなければならない。そこで著者は、溢れんばかりの行動力と知恵で、そのアプローチをこの本に凝縮させている。決して政治家になって権力を濫用するためではなく、このように若い世代の力強いパワーを、もっと積極的に広めていくことが、我々日本人全体の課題とも言えるのだろう。普段から、保守的であることと事なかれ主義であることを履き違えている人が多いようにも思える私から見ても、本書は新鮮だった。もし、現時点で自分の人生に言いようのない理不尽さを感じている人がいるとすれば、苦しまないようにしているはずなのに生活が苦しいのは何故なのか、ということも、考え直す必要があるだろう。