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くまの書評ブログ【すべての書籍は血肉縁】

“血”となり“肉”となり、人々の“縁”となる読書の素晴らしさを、野獣目線で呟いていきます。

レトロゲーム好きな人もそうでない人も【ファミコンコンプリートガイド】

    漫画という分野ひとつ取っても「ハイスコアガール」や「無慈悲な8ビット」など、最近のレトロゲームブームに便乗してこんな本が出てたのか、と言いつつ、その、こんな本を手に取った私が一番ブームに便乗している人間だったりする。

 

ファミコンコンプリートガイド

ファミコンコンプリートガイド

 

 



    本書には全1252本のファミコンソフトが掲載されている。1ページ当たり約4本のゲームソフトと、それぞれの発売日と価格とメーカー、加えてゲーム内容の画像とソフトとパッケージ、著者による3〜6行ばかりの解説文という構成になっている。また、スーパーマリオブラザーズドラゴンクエストシリーズといった大作はページの半分を使って、大々的に解説をしており、その他、シリーズ化して今でも人気のあるソフト(ロックマンシリーズやグラディウスなど)もかなり力を入れて紹介をしている。レトロゲームに触れたことのない人でも、有名ソフトの歴史を垣間見ることが出来るので、ファミコンを触ったことのない人でも楽しめる部分がある。
    ただし。
    こういったゲームに関するガイド本というのは、どこかしら心を躍らせる何かがあるーーと言えるのはもう過去の話なのかもしれない。
    本書はどちらかというと資料集と言った塩梅の内容で、説明文やコラムや裏話、ファミコン制作風景の写真などもあるにはあるが、全体からすると比較的少ない。出来れば、今日日どのインターネットサイトにも載っていないような秘話や裏事情などを、もっと充実させてほしかった。
    また、今ではネットを使って情報やプレイ動画を見たり、データを落としてプレイしたり出来てしまうのに対し、この本はかなり淡白かつ無難なことしか解説していない(出来ない?)文章構成になっているのは残念なところ。誰も知らないファミコンに纏わる話といった、作者の体験や聞いた話などでもよかったので、そういった点も充実していたらもっと面白かったと思う。
    それと、当時は今よりも名作のみならずクソゲーの排出率も高かったが、このご時世、やはり過去の作品とは言え、今もゲーム作りに携わっている人やタイトルの実名を挙げてこき下ろしたり企業の黒歴史などに触れるのは厳しいものがあるのか。
    個人的に頂けないのが、作品によって、本書の解説と世間の評価の見方が、ややズレていたりするところ。例えば、(個人的に私が最高にクソだと思っているゲームである)「マインドシーカー」に関しては、そのソフトの問題点に反してかなりマイルドな説明になっている。本書ソフト解説文は全体的にちょっと控えめな表現で書いているのか、と思いきや、「燃えプロ」や「星をみるひと」では思いっきりクソゲーという単語を使っていたりする。マインドシーカーに関しては内容だけでなく、もし現代に出てきたら企業問題に発展してもおかしくない代物なので仕方ないと言えば仕方ないのだろうが、それにしてもこういう本を企画するのであれば、ややグレーなゾーンにも突っ込んで欲しかった。
    その他、「元祖西遊記スーパーモンキー大冒険」のところで「ストーリーが薄っぺらいと評判は今ひとつだった」とあるが、当時このゲームが評判低いのはそこ以上にもっといっぱいあったと思う……。ファイナルファンタジーⅡの項目でも「ラストダンジョンの長さが賛否を呼んだ」と言っても、どちらかと言うと“長さ”と言うならⅢの方だし、Ⅱのラスダンにおいて賛否分かれたのは道中の敵の強さだろう。

    とは言え、昔の“ファミリーコンピューター”というゲームの知識を改めて深めたり、思い出したりして楽しむには、少々甘い点もあるが、内容的には十分だろう。カセットソフトはもちろんディスクシステムや周辺機器、そればかりでなく、当時の写真やチラシ、広告まで載っているので、なかなか探究心が溢れる構成になっている(あと、やけに中山美穂の写真が多い(笑))。
    この本だけで、ファミコンにハマった当時の少年少女たちのノスタルジーに浸れるかどうかは、正直疑問なところだが、索引がしっかりあって、全体の情報量も少なくないので、ただ思い出すためだけではなく、中古屋に買いに行ってプレイしてみたり、この本のようにそれこそ周辺機器なども含めた上でコンプリートするためのガイドには、うってつけの本だ。