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くまの書評ブログ【すべての書籍は血肉縁】

“血”となり“肉”となり、人々の“縁”となる読書の素晴らしさを、野獣目線で呟いていきます。

新感覚の漫画「タイムスリップオタガール」

ーー近況ーー
最近、スーパーファミコンのゲーム「ロマンシングサガ3」(1995年発売)を、Wiiバーチャルコンソールでおとして、ハマっています。
しかしこれが楽しいのなんの。
あの技を閃く時の「ピコリーン」とか、レアアイテムをドロップした時なんかたまらないほど脳汁溢れる。。。そんな20年以上前のゲームに想いを馳せながら、プレイする私。
ーー近況報告終了ーー
さて、いつもの読書感想にいくであります。

 

実は私……(31歳:男)

この歳になるまで……

オタク女子

というのをあまり知りませんでした……

リアルの世界ではもちろん、二次元で「オタク女」「腐女子」「喪女」というものをみてもピンと来なかった……本当です(一応、「わたモテ」などである程度は知っていた)。

その理由は

自分が

オタボーイだからなのでござる。ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

オタク男で尚且つ、モテたことがなくて尚且つ、女性と接点がなかったから、単純に、女性全般を知らなかっただけだったので候。

 

と言うわけで、読みました。
「タイムスリップオタガール」

 

タイムスリップオタガール(1) (ポラリスCOMICS)

タイムスリップオタガール(1) (ポラリスCOMICS)

 

 

私とほぼ同年代の主人公(著者?)が、1996年にタイムスリップしてしまう、と言う話。
しかし何なんでしょうか。
この、手垢がつきまくってるにも関わらず妄想が捗りまくる滑り出しの設定は!?  それこそ、パロディ元であろう「時をかける少女」なんて、原田知世版のが我々が生まれたほんの少し前に出来た映画で、それくらい古い。もちろん原作はもっと古い。タイムリープものの元祖はもっともっとーー
しかも
オタクをテーマにした漫画ではあるものの、当時のサブカルは置いてけぼり。ある程度は出てくるけど、話の根幹には携わらない。いちいち「ゲーム◯ーイ」とか「ポケ◯ン」とか、超有名な単語にすら伏字を使っているくらい。
例えば、同じアラサー女性漫画家の山本さほ氏の「岡崎に捧ぐ」なんて、作品のタイトルなどが実名でバンバン出てくるのに。もちろんあれはあれですごく面白いが、こちらはあるあるモノや懐かしネタというより、むしろ一般的な少女漫画の感覚に近い。
これほどオタクだけでなく、非オタの読者にも優しい漫画がこれまであったでしょうか、いや、ない。
どの辺が優しいのか、と言うと
「この漫画はオタクの皮を被った純粋なタイムリープ青春劇だ!」
と思うからです。

 

この作品、9割以上オタ主人公の妄想やモノローグで話が進んでいって、それでいて展開が急ピッチで進んでいくので、ものすごく良い意味で読者が置いてけぼりにされていきます。
どういうことかと言うと、例え“オタク知識がなくても読める”というのはもちろんのこと、青春劇とかSFモノのテンプレをきっちり抑えた上で、とある最高の魅力を教えてくれるから。
そこでーー多少話が脱線しますがーーオタクは、例え若返っても、肌がツヤツヤになっても、周りが中坊だらけになっても、自分が漫画や同人誌が読めなくなることの方が重要なのだということを、この作品は教えてくれました。そう考えると、オタク度的で言えば私もまだまだボウヤだな。
いや、そんなことはどうでもいいですね、話を戻します。
さて、その、とある最高の魅力とはーー
主人公のポジティブさと可愛さ。
です。

正直こんなオタガールだったら、憧れます。いろんな意味で。
この前向きさと、自分を下手に飾らず、媚びない性格。はっきり言って、この主人公のような女性だったらお付き合いしたいと思うくらいです。もちろんオタクであるとか全然関係ない。
自分を貫いていって、殻に閉じこもっているように見えるけど、その激情は誰よりも熱い。そんな力を誰しも持っていることを、この作品は
教えてくれた。
世の中、声がでかい奴や見た目が良い人間ばかりに目がいきがちだが、こんな風に自分の道を突き進んでいっている人は、リアルでもすごいと思う。
だって、カラダは13歳ココロは30歳なんて、もし自分がそうなったら、本当に凡百の発想しか思い浮かばないのに、この主人公は二度目の人生でもひたすらオタク道を突き進んでいる。まさにオタクの鑑である。
周りの反応や悪意もなんのその。オタク道で30年間鍛えられたスキルは伊達じゃない。こんなに脳内に沢山のオタクワードを抱え込みながら、カッコつけずにくだらないプライドも抱えず生きていけているなんて、とても自分には真似できない。

 

こんな新感覚の漫画、初めて見ました。

 

よし、私も決めた。


もし自分が学生時代にタイムスリップしても、今と変わらず当時のゲーム(ロマンシングサガなど)をやり続けます。
最後になりますが、そういう生き方こそが、本当に素晴らしい人生なのだと教えてくれた、タイムスリップオタガールの作者、佐々木陽子氏に感謝の気持ちを……