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くまの書評ブログ【すべての書籍は血肉縁】

“血”となり“肉”となり、人々の“縁”となる読書の素晴らしさを、野獣目線で呟いていきます。

【背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~】新たな視点で展開される少年漫画【週刊少年ジャンプ】

 

 

 とっても面白いです。

 

  • 部活
  • 競技もの
  • 主人公が初心者

 

 というパターンは王道だが、その部活動の名前が「競技ダンス部」。何やら一風変わっているしメジャー誌らしくないニッチなジャンルを取り扱った作風なのか、と思いきや、そんなことは関係なく、多くの人に安心して楽しめる内容となっている。

 もう少し付け加えると、この漫画の面白さは、演出のメリハリの良さと主人公を含む個性的なキャラ達の魅力にある。

 

 女の子が苦手な主人公。しかし、入部した矢先には自分と同じポジションの同級生の女の子がいて、当然の如く接触する機会も多くなり。――と、くれば、下手な漫画だと安易なラブコメやご都合主義に走りがちなもの。だが本作品は、主人公と同時に入部した女の子も全く同じ立場、同じスキル、同じダンスを踊るというスタンスで物語が進んでいくため、青春物のお約束を踏襲しながらコンビで成長していくという、男子高校生が主人公の少年漫画としてはとても珍しい手法をとっている。

 また、他のジャンプ漫画にもありそうで、実は意外と少ない部分がもう一つある。それはどんなときでも、主人公の目線で物語が進んでいくところ。そのため、先輩の踊るシーンで圧倒されても、主人公達がまだ慣れないうちから試合に出場し踊ることになっても、成長する時は成長し、決める時はバッチリ決める。初見ではヘタレそうに見える主人公だが、不自然さは全く感じられず、わかりやすい演出も相俟ってスムーズに話がまわっていく。決して読者が置いてけぼりをくらうことがなく、非常に感情移入がしやすい。

 周囲の人間も、スポ根ものにありがちな、下劣な上級生や敵キャラなどは(今のところ)おらず、漫画全体が“鑑賞させる”という、ダンスの楽しみを表現する決まりに則っている。ただぶっ飛んだ設定を描き散らすのではなく、地道な努力があってこそ見る人を圧倒させ、魅せる、という説得性を作品の中でもたせている所に、作者のセンスが光る。

 

 やはり天下の少年ジャンプの漫画はこうでなくてはいけない。時代に迎合するのではなく、時代をリードする。それこそこの漫画の主人公つっちーのように。