くまの書評ブログ【すべての書籍は血肉縁】

“血”となり“肉”となり、人々の“縁”となる読書の素晴らしさを、野獣目線で呟いていきます。

爆笑っ……!圧倒的爆笑っ…………!!【中間管理職トネガワ】

 

中間管理録トネガワ(1) (ヤンマガKCスペシャル)

中間管理録トネガワ(1) (ヤンマガKCスペシャル)

 

 

 最初、こんな漫画が出ると聞いたときは、正直不安というか、つまらんだろうという先入観のほうが大きかった。

 何故ならカイジ本編でEカードに負けたくらいで失脚するなんて利根川も実はたいしたことないんじゃないか、そんなキャラのスピンオフをいまさら見ても、ねぇ。

 と思った……!

 がっ……!!

 

 以下内容

 まず、黒服の名前を覚えさせるところから始まって、理不尽な上司の恫喝、レジャーと謳った休日出勤。まるで読者が新入社員となり、利根川の部下として嫌な行使を受けている、と錯覚させられる。もちろん高みの見物でそれを見るわけだから、同時に兵頭会長になった気分にもなる。更にそれに加えて、利根川が電流鉄骨渡りで安全な場所から見るという愉悦、にも似た味わいを楽しめる。それだけギャグに振り切るとは、なるほど、この漫画の作者の福本伸行のアシという人は、相当センスのあふれる人(達)であり、自慢屋だな。

 そして他の福本作品にはない、話と話の間にある1ページのスペースが、また笑いを誘うものになっている。黒服大図鑑って、あれじゃただの烏合の衆だよ……いや実際そうか。あとボウリング好きなやつ多すぎ。

 焼き土下座の鉄板をバーベキューに使うとか。っていうか鉄板って本来それが正しい使い方だよな……なのに肉を焼くのがギャグに見えてしまう不思議。本書はファンサービスにもあふれている。・

 あと限定ジャンケンって利根川の変な名前の部下が考えたものだったのかよ(利根川は名前だけ思いついて強引にその案にねじ込んだ)。確かに本編で圧倒的存在感を見せ付けた利根川が、実際のところ部下にどう思われているのか、といった描写は少なかった。だからこそ、本編の裏側にはこのようなエピソードがあった、という話を自由に描けるのだろう。

 

 あと福本作品は意外に時事ネタが多い。黒沢でもハウルとかヨン様とか、今見ると懐かしいネタが数多くあったりする。でも最後のおまけ漫画のエンブレムって、明らかに利根川いたころの時系列とか無視して書いてるだろwwしかもこのおまけ漫画だけ福本氏が描いているというのだから、そこでも笑わせにかかってくるとは。もう福本氏はギャグ一本で勝負してもいいんじゃないかな。さっさとカイジやアカギ終わらせて。でも、シリアス漫画の合間にこのようなネタを振りかざす作品が出てくるから笑えるのかも。Shut Upとかぐにゃあのシーンがあるとか、ちゃんと原作愛にもあふれている。カイジではFuck You だったけど。

 

 もう15年くらい間だったけど、確か福本伸行ロングインタビューというのをカイジの関連本で読んだことがある。確か、【カイジ語録】というタイトルだったか。それによれば、福本氏は、カイジでは誰でもすんなりわかるギャンブルというのを考えていて、それが限定ジャンケンというアイデアにつながったらしい。麻雀なんて、確かに知名度に反してルール知っている人多くないし、ジャンケンなら誰でも知っている。そしてその瞬間に、連続してアイコにする作戦とかカード買占めとかあっという間に思い浮かんだ、と言う。それもまさか本当は福本氏の当時のアシが考えたアイディアだったんじゃないだろうな。しかし、福本氏は、そんなことを言っていたのにもかかわらず、禁じ手を使ってしまった。カイジで麻雀をやってしまったのだった。

 皮肉なことに、この漫画が面白いと感じれば感じるほど、今の本編がどれほどグダグダでわかりにくいか、をあらわしてしまっている。もしかしたら、この作者は、いつまでも過去の連載を引きずっている福本氏に対して、本書の黒服の心理をそのまま漫画に表したのかもしれない。