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くまの書評ブログ【すべての書籍は血肉縁】

“血”となり“肉”となり、人々の“縁”となる読書の素晴らしさを、野獣目線で呟いていきます。

「生活保護の不正受給〇〇パーセント」ってどういうこと?【健康で文化的な最低限度の生活】

 

 

 

 

 何か最近漫画を取り上げる機会がどんどん増えているような……

 仕事が忙しすぎて小説や実用書を読む時間がないのです。。。

 貴重な休日も新たなボランティア活動に勤しんでいるということで暖かく見守って下さったら嬉しいです。  

 

 さて先日、別府市の市職員が、生活保護受給者がパチンコなどのギャンブルにのめりこんでいないか巡回し見つけた場合は厳しく対処する、という記事があって、ネットでの反響やコメントは賞賛の嵐でした。

 と、いうわけで、今回はこの生活保護をテーマにした漫画。

 

 昔はこういった社会問題を題材にした漫画は絵が劇画タッチだったりリアルに描かれていたりしていたものですが、本作品はポピュラーな漫画のそれであり、受け入れやすくなってて、時代は変わったな、と感じます。

 

 主人公の新人ケースワーカーは、自他共に空気が読めなくて、目覚ましい活躍を出来ていないどころか、いろいろやらかしたりなんかもしてしまっている。

 しかし、働けない人々と接し、税金を支給するという立場にある者にとって、空気を読めるということはどういうことを指すのだろうか?

 少なくとも引きこもりの我が子を激昂するように、強制的に家から追い出したりハローワークに無理やり連れていくことではあるまい。

 つまるところこの場合、客観的に見れば十分に常識的な範疇の性格である主人公は、あくまでケースワーカーという公務員的な立場において、一般雇用で働いて税金を納めている人と同じ目線で立って貰う、いわゆる狂言回し的な立場でもあるわけである。それと同時に、見方によっては主人公を生活保護受給者達に切り替えることも出来るというわけだ。それくらい生活保護という制度は全ての国民にとって身近なものなのだ。

 

 当たり前の話かもしれないが、人間とは、自分の考えを常識と切り離して考えることは言うほど簡単ではない。

 労働者100人が100人ともタチの悪い不正受給だと思うような場合でも、本人と福祉事務所の合意があれば、それだけで1ケース支払われる。

 そのため真の意味での不正受給の解決法とは何か?という答えを見つけることは、非常に難しい。

 もちろんその不正の対象となる項目は存在するが、それでもあくまで制度の中での判断基準でしかない。

 不正受給は、生活保護制度の抱える問題の中で最も、全ての国民にとって無視できない事実であろう(この漫画では2巻から展開されていく)。しかしマスコミなどが垂れ流すニュースが災いして、ただ「許せない」とか「どのようなケースがそうなのか」、ということばかりに着目してしまうのは、実はこの問題をラディカルにとらえているとは言えない。

 どういうことかというと

「何故不正受給が発生したのか」

 ということも大事だが、それ以上に

「そもそも不正受給が発覚した時点で即刻制度を打ち切るべきではないのか」

 という見方も出来はしないだろうか。

(そんなの当たり前の事ですって? いえいえ、それがちゃんと機能できてないから問題なのだと思います。。。)

 

 そうなると、国が発表する「厚労省調べの不正受給の件数は全体の〇〇パーセント」という数字は、“少なくとも表向きでは”0パーセントでなくてはならないはずなのに、それが少しでもあるということは(本作品の引用では平成24年時点で2.4パーセントとある)おかしくはないだろうか?

 その2.4パーセントが事実だと仮定しても、短期間であれ長期であれ、国ぐるみで不正の片棒を少なからず担いでいる、とも解釈できる。

 つまりこの数値はまやかしであって、不正行為者が国が決めた制度をあからさまに破ったうえで、行政側もまた意図的であれ不本意であれ見逃しているケースは実際のところ想像を絶するほど多い、と推測できる。

 この漫画の主人公を筆頭とした登場人物達がやらかしたように、実際の世界でも職員たちの不手際が発覚して、「その時の数値がこのパーセンテージだ」、と見ることも出来るが、いずれにしろ当てにならなさすぎる。

 

 個人的な見解になるが、働こうと思えば働けるのに全く仕事をせず国民の税金を貪って朝からパチンコ三昧な人間は、僕だって軽蔑しているし、胸糞悪い。

 

 だが、えさを与えておいてそのフンの始末もろくに出来ていない現実の行政はもっと腹が立つ。彼奴らの給料もまた血税で出来ていることを考えればなおさらだ。

 

 本作品は現在の生活保護制度が抱えている負担や諸問題を、多角的に、フィクショナルな絵柄且つリアルな構成で描いてはいるが、これでもまだ表面的な段階、いわば教科書的な役割にとどまっている(今後話を追うごとに内容がより濃く深くなっていくとは思うけれど)。

  

 反面、わかりやすいがゆえに、もっとよく考えてみよう、と思わせる漫画だった。

 

 思考停止はやはり良くない。それではただばらまきを繰り返す政治家や公務員と何も変わらない。