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くまの書評ブログ【すべての書籍は血肉縁】

“血”となり“肉”となり、人々の“縁”となる読書の素晴らしさを、野獣目線で呟いていきます。

イギリスの中学生はどのような歴史を教わるのか

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 世界の教科書シリーズ〈34〉【イギリスの歴史 帝国の衝撃】を読んでみた。

 

イギリスの歴史【帝国の衝撃】―イギリス中学校歴史教科書― (世界の教科書シリーズ34)

イギリスの歴史【帝国の衝撃】―イギリス中学校歴史教科書― (世界の教科書シリーズ34)

 

 

 まず第一前提として、この本が、原文を脚色せずしっかりと日本語訳してあることを前提に話を進めていきたいと思う。

 

 

 

 中世~近世までの世界史全体を勉強するにあたって、イギリス(大英帝国)程えげつないことをする国だったという印象をもつ国もなかなかないのではないだろうか。

 

 本書は初めの内から、ディスカッション形式で歴史的意見を反映させたり、写真を見せて読者に設問を与えるなど、日本の歴史教科書よりも直接学習者に考えさせ、啓蒙していく編集をとっている。

 16世紀後半のロアノークの植民地化失敗から始まり、帝国の建設や先住民の虐殺、更には奴隷貿易やそれぞれの終焉においてまで、余すところなく収録され、イギリスという国の栄枯盛衰、罪状や残忍さも含めた上で客観的に書かれている。

 

 …………かのように見えるが、そこはやはり、本当に都合の悪いところはなかなか書くわけにはいかないのが現実。

 

 本書の最後でも突っ込まれているが、アヘン戦争に関しての記述はほぼノータッチだし、現在のパレスチナ問題に起因する中東に対して、どれだけイギリスが汚いことをしてきたのか、という事にはほとんどと言っていいほど触れられていない。アメリカの独立やアロー戦争に関しての記述もないに等しい。

 

 つまり、単純に都合の悪い歴史を覆い隠したい、という概念に帰結するのではなく、あくまで「今のイギリス人から見て、これを取り上げてしまうと現段階での政治、経済上まずいことになりそう」なことは軒並み教えないことにしている、という印象を受けた。

 単純に過去のイギリスが強くて戦争でたくさんの人を殺し、多くの外国や島を略奪、支配、虐殺していった、という話では、全て過去の出来事として清算してしまえる。しかし、例えばアヘン戦争の発端や中東の三枚舌外交など、現代を生きる自国民の子供にだからこそ教えたくないことも、やはり数々の残虐性を発揮してきたイギリスならでは、という感じがしなくもない。

 

 しかしそこで世界の国々における自虐史観という観点までについて触れてしまうと(特に我が国を例にした場合など)大幅に話が逸れてしまうのでここでは書かない。

 問題はこれを見てイギリスの子供達は何を思うか、新たにどのような歴史を作っていくか、ということ。

 私はイギリスに行ったことはないし(将来行きたいとは思っている)イギリス人と会話したこともない。だから自分の国に対してどのような考えを持っているかどうかなどは、書籍やネットなどで調べるといった方法でしか読み取れない。それでは十分な知識を得た、とは言えないだろう。

 だが、本書を読むことで国民性というものを考えさせられるきっかけとなった。

 昔風の身なりをしている人が過去のイギリスの栄光に縋っているのか?コスモポリタンを意識する人が必ずしも未来の自国の事を考えているか?伝統を守る者や教える大人、教わる子供達が皆そのルーツを知っているか?

 答えは全てノーだ。

 イギリスの今の子供達が自国に対しての感情を知る事によって、日本人が学ぶべきことは多い。他国の歴史観はそういった意味でも、日本国民にとって自国の歴史を背負い現代を形成する礎になるのだ。

 

 チャーチルが言ったように、日本はイギリスはほとんど地球上の裏側にある(実際にはアルゼンチンあたりだが)。だがそれでも大英帝国、現グレートブリテン及び北アイルランド連合王国のあり方を通して、現代の日本の歴史を考えることは可能だ。アメリカなど様々な国を経由して、日本も習ってきた伝統や習慣が多数あり、それに倣っている部分も多々あるのだから。

 例を挙げれば、日本が、現代のアベノミクスに代表されるような資本主義社会を中心に、どのような政治形態を成していくべきなのか、という問題を深く考えることも出来るだろう。

 

 

 

 さて。

 そうと決まれば今度はイギリスの近代史などについても学習意欲がわいてきた。

 今月中には、僕の尊敬する政治家、「ウィンストン・レナード・スペンサー=チャーチル」に関しての書籍も取り上げたいと思います。