くまの書評ブログ【すべての書籍は血肉縁】

“血”となり“肉”となり、人々の“縁”となる読書の素晴らしさを、野獣目線で呟いていきます。

僕の人生を変えた【ねこぢる】漫画

ねこぢるうどん 全3巻完結 (BiNGO COMICS) [マーケットプレイス コミックセット]

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  ねこぢる氏の漫画の感想や考察をあげていくとキリがないので、今回は処女作であるねこぢるうどんに焦点を当てて書いていこうと思う。

  可愛い絵柄にグロテスクでダークな描写。不条理に人間の汚穢など。とにかく暗いのにここまで人々に避けられることなく、自殺後も天才女流漫画家の名を欲しいままにしたのは、その受け入れやすい見た目と読みやすさに起因するものだと思う。
  本作で既にねこぢる氏の個性や筆力が存分に発揮されており、この時はまだ絵は乱雑ながらも、非常に独創性が高く(キャラの目がまるで死んでる、擬音語も台詞も独特)中毒性が高いものとなっている。この段階ではまだ既存のガロ作品の影響から抜け出てない部分が見受けられるが、平成の時代に若い身分でこのような作品を書け、かつ知名度もそこそこある作家と言えば、他には福満しげゆき氏くらいしか思い浮かばない。

  個人的に特に印象に残っているのが2巻の山の神様の話。そうか、工場も工場でコツコツ働いてる人間は地獄行きか……じゃあ僕は死んだら無間地獄行きだな……(余談だがこの作者は他所で町田の団地ファミリーに対しても蔑視してる。トホホ)

  それでも僕の人生を変え、心の中でこっそり崇拝している。その理由は一言に尽きる。
「よくぞ書いてくれた」と思う所が多いからである。
  これだけ人間とは愚かなもの、虐げられしもの、神などいない、いたとしても神罰を無闇矢鱈に与えることしか出来ないという事を書いてくれている。元旦那の山野一氏が言うように、ねこぢる氏は決して社会風刺をするつもりで書いた訳ではないだろう。ただありのままを書いたからこそここまで説得力があるのである。

  それでも飾ることをやめられない僕ら。それはひとえに人間が弱いからである。ねこぢる氏は作品の中のみならず、自らの命でもってそれを証明してくれた。

  何だか褒めすぎですか?

  それでは、僕が、数多の名作を描き切ってから自殺した氏とその本に対する感想を一言述べて、締めくくろう。

〔最低の漫画家による最高の漫画〕