くまの書評ブログ【すべての書籍は血肉縁】

“血”となり“肉”となり、人々の“縁”となる読書の素晴らしさを、野獣目線で呟いていきます。

怠惰は「悪魔が休息するクッション」

例えば、ブラック企業などで長時間残業やパワハラ、重労働に酷使されていたり心の病気を抱えている人に対して「働かなくていい、休んでいい」「頑張り過ぎるなよ」 と、声かけをするのは、何ら間違ったことではない。 しかし、そのような声があまりにネット…

思い出は美しいまま蘇ってくる【フルーツバスケットanoter】

私が、少女漫画で泣いたのは後にも先にも、もうかれこれ10年以上前に読んだ、この【フルーツバスケット】だけ。 フルーツバスケット 全23巻完結セット (花とゆめCOMICS) 作者: 高屋奈月 出版社/メーカー: 白泉社 メディア: コミック 購入: 1人 クリック: 6…

若き政治家の熱いメッセージ【だから政治家になった】

本書は、元総理大臣の秘書を務めた後、27歳で神奈川県議会における県政史上最年少議員として当選した政治家による政策本である。 だから政治家になった。矛盾だらけの世の中で正論を叫ぶ 作者: 中谷一馬 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2017/01/25 メデ…

新しいムーブメントとは、他人や環境に惑わされないこと【あなたが世界のためにできるたったひとつのこと】

世界のためにできる、なんて出だしからして、なかなか一般人からは受け入れ難いタイトルではある。 あなたが世界のためにできる たったひとつのこと―<効果的な利他主義>のすすめ 作者: ピーター・シンガー,関美和 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2015/12/…

天才的な日本語を、更に天才が面白い日本語に訳した本

ジェイムズ・ジョイスの【フィネガンズ・ウェイク】を見事に訳した、柳瀬尚紀氏。本書ではその著者が余すところなく日本語の面白さ、素晴らしさ、自由自在さを紹介してくれている、エッセイ集である。 日本語は天才である (新潮文庫) 作者: 柳瀬尚紀 出版社/…

【騎士団長殺し】かもしれないが多すぎるかもしれない【遷ろうメタファー編】

前記事 jiru4690.hatenablog.com 「若くして伝説になることのメリットはほとんどありません。というか、私に言わせればそれは一種の悪夢でさえあります。いったんそうなってしまうと、長い余生を自らの伝説をなぞりながら生きていくしかないし、それくらい退…

【騎士団長殺し】ぼくはごく普通の人生を送ってきたごく普通の人間です【顕れるイデア編】

読みました。 騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/02/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 今回の主人公はかつて肖像画を専門としていた36歳の画家。 主人公は冒頭から、妻より…

思考法を纏めたビジネス書の秀作【降りてくる思考法】

【降りてくる〜〜】というタイトルだが、決して「何かスピリチュアルなものが降りてきた」とか、そういうことではないし、また、腰巻きに「ロジカル・シンキングはやめなさい!」と銘打っているが、論理的思考を軽視しろと言っているのでもない。 本書は、ク…

ジョセフ・コンラッドが伝えたかったこととは?【闇の奥】

最近このブログで、寓話を紹介する機会が増えている。すなわち、物語が読み手に多種多様な思想や感想を与え、教えを受ける作品といったものを。 闇の奥 (光文社古典新訳文庫) 作者: コンラッド 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle…

約10年ぶりくらいに【夢をかなえるゾウ】を読み返してみたら

前回は取り乱してしまいましたm(_ _)m さて、今回はこの数日の間に自分のことをいろいろ考える機会があったので、その話も混じえてしていこうと思います。 その際に取り上げるのは、この本。 夢をかなえるゾウ文庫版 作者: 水野敬也 出版社/メーカー: 飛鳥新…

風邪で熱が酷く気分が最悪な時に敢えて自己啓発本を読んでみる

注意! 本記事は敢えて体調の悪い時の今の自分の心をいじめることによって、完全にネタのつもりで身体を張って書いています。面白半分で書かれた記事なので、真面目にこの本の内容を知りたかったり、嘘や演技であっても他人への誹謗中傷及び自暴自棄な書き方…

無期懲役と中高生の文通【女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法】

したい人、10000人。始める人、100人。続ける人、1人。 女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法: 知的すぎる無期懲役囚から教わった99.99%の人がやらない成功法則 (小学館文庫プレジデントセレクト) 作者: 美達大和,山村サヤカ,山村ヒロキ 出版社/メ…

予想通りに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

例えば 100円の「明治ミルクチョコレート」と 5円の「ごえんがあるよ!」の駄菓子チョコ。 この2つの商品のうち、売り上げ、人気、知名度が高いのは、「明治ミルクチョコレート」の方だろう。 しかし、この2つの商品をもしそれぞれ5円ずつ値下げしてみたら…

【深い穴に落ちてしまった】は、深く考えないで読む方が面白いと思う

そう、普通に、「穴に落ちてしまった兄弟によるサバイバル&サイコサスペンス」モノとして見れば、泥水や虫を飲み食いしたりウジを湧かしたり、グロシーンやトチ狂った心理などが渦巻いて、なかなか気味の悪い思いが出来て楽しい。 深い穴に落ちてしまった …

【有川浩】旅猫リポート【文庫版】

近所の本屋で平積みにされていたので、手に取って買った。 旅猫リポート (講談社文庫) 作者: 有川浩 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/02/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 有川浩の作品を読むのは久しぶりだったが、当方猫好きなので、期…

最高にカッコよくて痛快な天才ヒロイン!【国を救った数学少女】

世界的ベストセラー【窓から逃げた100歳老人】に続く小説。 それにしても、はっきり言ってしまって悪いとは思うのだが、アフリカという舞台から物語が始まると聞いただけで、良くも悪くもスリリングもしくはブラックな展開を期待してしまうのは何故なのだろ…

2つの時代が交錯する、正統派ファンタジーノベル【レムリアの女神】

文庫本でないファンタジー小説を読むのは、実に桝田省治氏の【ハルカ 天空の邪馬台国】以来だった。ただあちらはあちらでーーすごく楽しかったけれどーー精神的にドギツイ部分も結構あったので、たまに落ち着いた感じの空想にふけってみたい時もある。 今回…

【ジョン・グリーン】原点にして頂点のヤングアダルト【アラスカを追いかけて】

素晴らしい。素晴らしい青春小説です。本当にヤングアダルトの大傑作。私はこの一冊で一気に著者のファンになった。 アラスカを追いかけて (STAMP BOOKS) 作者: ジョン・グリーン,金原瑞人 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/01/20 メディア: 単行本(…

つげ義春【無能の人】を読む

無能の人・日の戯れ (新潮文庫) 作者: つげ義春 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1998/03/02 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 61回 この商品を含むブログ (139件) を見る この本を最初に読んだとき、なんて私小説的な文学だろう、と思ったものだった。…

【燃えるスカートの少女】夢うつつな小説【エイミー・ベンダー】

文字を追っているだけなのにはっきりとした情景が目の前に浮かぶ小説というものにたまに出くわすことがある。そして不思議なことに、その内容が不可解だったり混沌としているものに限って、自分自身の心を覗いているかのような錯覚を覚えつつも、スラスラ読…

【村上龍:編】薄ぼんやりとした透明な恐怖作品集【魔法の水】

この作品集は、現代ホラー傑作選第2集(現代、とは言っても20年以上前に上梓された本だが)と銘打って、村上龍氏によって選択された、9人の作家の9つの短編を纏めたものである。 魔法の水 (角川ホラー文庫―現代ホラー傑作選) 作者: 村上龍 出版社/メーカ…

Amazonで稼ぎたい人や、中国輸出入で商売を考えている人にはうってつけの本【Amazon輸出入で3倍稼ぐ!  オリジナル商品を日・米・加で売る手法】

著者の豊田昇氏は、15年に渡り上場会社でサラリーマンの経験をしてきたが、2004年に広島県の店舗の店長として働いていた際、うつ病を発症した。その際に、台湾への海外駐在の辞令が届き、現地で人生観が変わるほどの体験と、視野を広げることが出来た。 この…

【すべてがEになる】理系ミステリィ作家エッセイ【森博嗣】

本書は、【すべてがFになる】【スカイ・クロラ】などで御馴染みの「理系ミステリィ」作家で有名な森博嗣氏が、インターネット上のホームページで公開している日記を本にしたもので、1998年の1月1日から12月31日までの毎日の出来事を、エッセイ調…

【三浦綾子】人生の意義を問う小説【塩狩峠】

一粒の麦、 地に落ちて死なずば、 唯一つにして在らん、 もし死なば、 多くの果を結ぶべし(新約聖書 ヨハネ伝 第12章 24節) 小説の人物、特に主人公が、読者に対して感情移入させてくれる役割を果たすのであれば、これほどまでに素晴らしい思いにさせてく…

原作【フランダースの犬】を読んで

【フランダースの犬】はイギリスの作家ウィーダによって書かれた少年文学であり、その原作はアニメ版よりも更に救いがない。 フランダースの犬 (新潮文庫) 作者: ウィーダ,村岡花子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1954/04/17 メディア: 文庫 購入: 2人 ク…

何となく読み返してみる筒井康隆作品【おれに関する噂】

何故か最近になって近所の本屋で平積みになっていた筒井康隆の【おれに関する噂】。 私がこの本を読んだのは高校生の頃でもう15年前にもなる。自分の本棚にもこの本があったので、ちょっとパラパラめくってみる。 おれに関する噂(新潮文庫) 作者: 筒井康…

コピーライターの大御所が示す“命名”【ネーミング全史】

六本木ヒルズ、TSUBAKI、PARCO、からまん棒、Suica、ごはんですよ、OIOI(マルイ)、お〜いお茶、DAKARA、クラシエ、サカムケア……この社会は、日本だけでも数えきれないほどのネーミングで溢れている。如何に覚えやすいか、名前だけで中身を知ってもらえるか、…

九井諒子さんの初期の短編集

現在は、漫画「ダンジョン飯」で人気を博す九井諒子さん。 この漫画が出てきた時の感想を率直に言うと「この人本当ドラゴンとかファンタジーが好きなんだな……」 だった。 2013年頃に、私がたまたま本屋で手に取った「ひきだしにテラリウム」を読んで、それか…

【絶望名人カフカ】から逆説的に人生をポジティブシンキングしてみる

絶望名人カフカの人生論 (新潮文庫) 作者: フランツカフカ,Franz Kafka,頭木弘樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/10/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (6件) を見る 1.将来に絶望した! 2.世の中に絶望した! 3.自分の身体に絶望した! …

寓話が見せる様々な解釈【かもめのジョナサン】

かもめのジョナサンはアメリカの作家リチャード・バックによって生まれた寓話的小説である。出てくるキャラクターは乱暴に言ってしまえば、ほぼかもめだけと言って良い。短い小説でありつつ、生きる上での意思や価値、食べることや長生きすること以上に大事…